エタブルオブメニーオーダーズのコレクションのテーマは斬新な観点から湧いて出ます。衣服または食べ物の素材への興味が基本にあります。本や映像、旅、人を通じて、そのテーマにまつわる起源や歴史、世界各地の習慣や文化、労働着や衣装、技術や道具、物語やエピソードなどをリサーチし、時には実践しながら、じわじわ見えてくる「衣」と「食」の関係性の中で、衣服を考え、素材や色や手法を選び、デザインしています。
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昔々、ある人が中国の川のほとりで湯を沸かしているときに風が吹いて数枚の葉が釜に舞い込んで、湯の色が変わり、香りがして、味がした― これはお茶のはじまりの一説。元は同じ葉がその名をさまざまに変える。お茶にまつわる人の趣向は限りない。わたしたちに広く柔軟に愉しみを与えてくれる葉のなるCamellia Sinensis=茶の木。
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ひとは羊を飼育する― 先導し、群れを維持し、草を与え、年月をかけて品種改良し生産性を築く。羊はひとに衣食住を与える― ウールや革を身につける、フェルトでできた屋根や床で暮らす、ミルクやチーズや肉を食す。今も未来も、大地に共存して生命は循環する。
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繊維と油。私たち人間の衣食にとって不可欠なもの。繊維への変容と油への変容を美しく成す植物が、flax=亜麻。着られることと食べられることを両立する亜麻に近づきたい。
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中央アジアから伝来したコットン(綿)を初めて見た中世のヨーロッパの人々は、それがまるで羊の毛のようだったから、羊が果実のように生る木が存在するのだと考えたらしい。動物と植物が融合した「Vegetable Lamb(植物の羊)」の伝説。たしかに綿と羊毛は似て見えるけれど、素材としてはもちろんまったく別のもの。視覚的に似ていても本質的にはまったく異なっていることに惑わされながら、人はさまざまな素材を開発してきたのだろう。
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16世紀にアステカで発見され、高位の人々を魅了し宝物のように憧れられていた、世にも鮮やかな染め物。その原料「コチニール」のことは長きに渡って謎に包まれ、虫とも種子とも見えない姿から「worm berry(虫の実)」と呼ばれた。
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